熱帯魚の飼育記録

主にベタの記録

『苔取り能力』オトシンとプレコを飼育しての感想

 アクアリウムに欠かせない苔取り生体。しかし飼育経験が無いと苔取り生体がどれほどの効果があるのか実際には分からないもの。

 そこで我が家でボルネオプレコとオトシンネグロを実際に飼育しての感想、食べる苔の種類、良い点悪い点などを踏まえて飼育感想を書いていきますので参考にどうぞ。

 

 

・ボルネオプレコ

 ボルネオプレコって厳密にはプレコではなくコイ科らしいですが小型のプレコって事で話しを進めます笑

 サイズは最大で6㎝になるそうです。が、我が家のボルネオプレコは3㎝弱程度しかありません。自分がcharmで購入してから1年以上経ちますが成長が遅くほぼサイズ変わらずなので小型の苔取り生体として長期間活躍してくれてます。

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・食べる苔の種類

 茶ゴケや緑藻がメイン。白い水カビも食べてくれます。黒ヒゲ苔は食べませんでした。

 

・良い点

①想像以上に存在感が目立たない。上記のように最大サイズは大きめですが小さいサイズであれば水槽内でも存在感が出ないので丁度いいです。個人的な所感ですが感覚的には成体のミナミヌマエビと並んでても存在感が馴染んでるなと感じる程度。ヤマトヌマエビを飼育している方であればヤマト以上に存在感があるなとは感じないと思います。

②日中問わずかなり活動的で忙しなく一日中コケを食べ続けてくれるので小型の苔取り生体の中では誇張無しにトップレベルだと思います。具体的には茶ゴケの付いたアヌビアスナナ4株を水槽に入れると一日で綺麗になるくらい。食べられる苔は確実に食べ、素早く広範囲に移動する事も相まって目に見えて実感できる苔取り能力を発揮してくれます。我が家では、他水槽の石に活着させた陰性水草に苔が生え始めたな〜と感じたらボルネオプレコの居る水槽にパッと持って行くだけで一日で綺麗になるので助かってます。

③低床に落ちたエサの掃除もしてくれます。我が家では沈下したフレークエサを積極的に食べてくれるので助かってますし、これによってプレコ専用のエサを与える必要が無いのもまた非常に助かります。

④食べる姿が力強い。ガシガシとかゴシゴシというオノマトペがピッタリな感じで苔を食べる姿が頼もしいです。口が横に広がっている事も相まってひと口ごとに確実に苔を食べてくれる印象。

 

・悪い点

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①物凄くフンの量が多いです。このようにベアタンク水槽だと分かりやすいですが、水替え掃除して半日もしないうちにフンが目立つくらいには酷いです。逆説的に言えばこの大量のフンの量の苔を食べてめちゃくちゃ仕事をくれている証拠と言えるのですが…

 そもそもプレコ系はそのフンの多さからベアタンク水槽での飼育を推奨される事が多いという面があります。

 レイアウト水槽だと低床掃除の頻度が上がりますし、しっかり低床掃除をしていてもどうしてもフンの蓄積が進み水槽リセットの早まりに繋がる可能性もあります。また、化粧砂を使っていると速攻で見た目が悪くなる事も容易に想像つきます。レイアウト水槽の内容によってはあまりにもフンの量が目立つボルネオプレコは不適切になる可能性があるのでかなり注意が必要です。

②ガラス壁の苔取り能力について。自分は当初、ガラス壁にどうしても湧いてくる緑藻が鬱陶しくてガラス壁の苔取り能力をボルネオプレコ含めた苔取り生体に一番期待していたのですが全く効果がありませんでした。

全く効果が無いと言うと語弊がありますね…実際ガラス壁の緑藻を食べてくれてはいますが、ガラス壁の掃除が不要になったり掃除頻度が落ちたりするほど綺麗にはなりませんでした。まぁ自分の綺麗の基準が高過ぎただけですが…

元々あまり水槽掃除をしない方やかなり苔の多い水槽を使用してる方、などの綺麗の基準が低くても構わない方からすれば、ボルネオプレコを導入する事でめちゃくちゃ効果が実感出来るのは確かだと思います。

 

・おすすめの水槽サイズ

 自分は30㎝キューブ水槽で1匹飼育していますが、もちろん飼育は充分出来ますが苔取り能力だけ見ると持て余している感じはあります。60㎝水槽に1匹からが丁度良い気がします。30㎝キューブ水槽ですらかなり多いフンの量が気になるのでそれ以下のサイズの水槽は更に気になるでしょう。

 

オトシンネグロ

 サイズは最大で5㎝。我が家のはまだまだ小さいです。

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・食べる苔の種類

 ボルネオプレコと同じです。

 

・良い点

①細くて小さいので葉が小さな水草や枝の細い流木等の幅広いレイアウトに対して有効です。小さい葉っぱや隙間などの苔はボルネオプレコでは物理的に食べられないのでそういった面では逆に小ささがアドバンテージになっています。

②特に目立つであろう茶ゴケなどを優先的に綺麗にしてくれる。ボルネオプレコと比べると小さいので苔取り能力はどうなのかと思いましたが見劣りせず、想像以上にちゃんと苔取り能力があります。

③フンが目立たない。

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こちらは化粧砂を敷いている水槽のオトシンネグロのフンです。茶色い粒々がフンですがそこそこ量があるもののフンの一つ一つが粒として転がっているので遠目から見れば砂の一部に見えなくもないです。(単色の白砂とかだと目立つとは思いますが)

よくいる苔取り生体のヌマエビやプレコなんかのフンって繋がって細長いフンが多いので余計にフンの存在感が悪目立ちするんですけど、オトシンネグロのフンは粒状なので底砂に同化しやすくて見た目のストレスが少なくて良いと思ってます。

④繁殖が狙える。自分は経験がありませんがオトシンネグロはオトシンクルスとは異なり繁殖が比較的容易だそうです。苔取り生体なんてなんぼ居ても良いですからね。

 

・悪い点

①あまり活動的ではなく静止している場合も多いです。それはイコールで苔を食べる回数が少ない事になるので苔取りスピードが遅いとも言えます。

しかしながら、メリットとも言えますし改善もできます。苔取りスピードが遅いということは必要以上にフンを出さない事に繋がりますし、苔取り能力を上げたいのであれば生体数を増やせばいいだけです。

②沈下した他熱帯魚のエサはほぼ食べない。ボルネオプレコが沈下したエサを積極的に食べるのに対して、オトシンネグロは食べてくれません。

オトシンは基本的に臆病なのと夜行性なので他の熱帯魚に混ざってエサを食べようとしないのが大きいです。

 

・おすすめの水槽サイズ

 小型水槽に1匹からでも充分だと思います。なんだかんだで必要最低限の苔取り能力はあるので水槽サイズに対して生体数少ないかな?と思う数から始めても大丈夫だと思いますし足りなけりゃ増やせば良いだけ。

 

・ボルネオプレコとオトシンネグロ、性能差、どちらがオススメか

 結論から言えば、苔取りのスピードや量の差はあれど、食べる苔の種類も同じで処理能力もさほど差が無いので、最終的にやっている事は同じ苔取り能力であり、性能差はさほど無いかなと感じました。もちろん上記で述べた長所短所がお互い存在するのでケースバイケースで性能差が現れる状況は起こり得ます。

最終的な性能差は無いとはいえ、苔取りスピードや量や力強さなどトータルの性能では当然ボルネオプレコが上です。

 

 では、どちらがオススメかと言われると、無難なのはオトシンネグロかなと。ボルネオプレコはやはりフンが多いのがネックですね…ボルネオプレコはフンの多さが推奨水槽環境を狭めてしまっているので手放しでオススメはし難いです。どんな水槽環境にも導入できるオトシンネグロが無難にオススメと言えます。

 加えて、水槽サイズやレイアウト次第でオススメが変わります。大きな水槽であれば広範囲の苔除去を求めたいので活発で食欲旺盛なボルネオプレコが合っていますし、小さな水槽や細かい水草を植えている水槽であれば小回りがきき存在感の小さいオトシンネグロが合っているでしょう。

 あとは単純な見た目や仕草の好み次第でしょうか。ボルネオプレコはマスコットのような顔と常にちょこちょこと動く様は眺めて楽しむのに向いてますし、オトシンネグロはスマートなカッコよさがありつつ忙しなく動かないので落ち着いた雰囲気の水槽に合います。

 

 

・まとめ

 まず、プレコやオトシンまたは貝などの苔取り生体全体に言えますが、色んなところで言われているような『苔取り生体でガラス壁が綺麗になった!』なんて謳い文句は過度に信用すべきでは無いなと身をもって感じました。

もちろんどの生体も苔取り能力は確実にあるので間違いではないのですが、『苔取り生体を入れたところで、普段から水槽を綺麗に維持してる人間からすると、ガラス壁の掃除が不要になるまたは頻度を減らせる、ようにはならない。』というのはお伝えしたいですし、用途を間違えず過度な期待さえしなければ充分な性能はあります。

また、ボルネオプレコとオトシンネグロどちらもですが、頑固な斑点苔の処理能力は限りなく無いです。実際には食べれているのでしょうが斑点苔が跡形も無く消え去る程ではないです。

 

 自分も飼育する前は実際の苔取り能力が想像が付かなくてどれを飼えば良いのか分からなかったり、実際に飼育してみて短所が初めて分かったり、と様々な情報が足りていませんでした。そんな方にとって今回の記事が少しでも参考になって頂ければ嬉しいです。